自動車業界10年以上の経験がある行政書士が、自動車ディーラーで値引を最大限に引き出す方法を伝授いたします。
知っておいて頂きたい基礎知識
- ディーラーには、メーカーから目標登録台数により報奨金が出て、経営の屋台骨である
月単位で目標登録台数があり、販売ではなく、登録まで行わなければならない。また、この目標数値を達成しているかどうかで、メーカーから報奨金が支払われ、この金銭がディーラー経営を支えている。さらに、メーカーによっては販売台数未達成の場合にはサブディーラーに格下げなどの条件もあり、目標数値を達成するかどうかでディーラーの経営状況は大きく変わってしまう。
- 新車で販売される車には、3種類の車がある
よく、一般の方が勘違いしているのが、新車はメーカーから直接納品されるものではありません。3段階に分かれます。@工場にて製造中のもの(車庫証明を取得する段階で車台番号が出ていないものがこれにあたります)A架装工場にてどこのディーラーに行くか待っているもの B展示中のもの。なお、試乗車などは絶対に新車として販売されることはありませんのでご安心下さい。
- お客さんから自動車ディーラーに協力するものが無い値引は、普通の値引である
「どのくらい値引いてくれますか?」「他でこの金額なんですが?」という交渉で、上司に判断を仰ぐような大きな値引をしてくれるでしょうか、答えは否です。上司に相談までしてお客さんに逃げられたら大目玉ですから。何かお客さんから与える物(つまり決定する意思)があったほうが、交渉はまとまります。
3つの知識を使ってどうするか
- 購入前の月
車種の選定
- 購入希望の車の見積りを何種類かとっておきます、もちろん値引額も聞きますが、ここでは参考程度にしてください。同じジャンルの車種でも金額は二の次にして選定するのが一番です。あまり値引の質問をしつこくせず、営業マンに「大切にしたいお客さん」の印象を植え付けましょう。
- 購入の一週間前
月末までに自分の希望する車が納車できるかどうかの確認
- 月の10日前後くらいに、自分の希望する装備・色の車が月末までに納車できるかどうかと、返事をいつまでに出せば良いか電話で確認してください。理由を聞かれても、ディーラー側の販売目標数値等のことには一切触れず、「旅行に行くのに使いたいから」くらいの理由にとどめるのがベストです。さらに、値引についてではなく、予算についてを話しましょう、自分が用意したい金額についてです(他メーカーの見積り金額については実際の値引より少し大目に話して予算内である事を伝えましょう)。この時点で、営業マンは、会議や朝礼の際に月末までに予想できる契約件数の一つとして発表しているはずです、しかも追加情報として予算がネックになっている事も上司に報告するはずです。
- 購入日
購入する覚悟を持って来店
- 返答期限ギリギリの日程で行きましょう。印鑑証明書・実印を持っていきましょう、さらに持っていることを営業マンに伝えてください。ただし、値引金額については今まで提示を受けていた金額より思いっきり多い金額を希望してください。さらに、一言「だめなら、予算の事もあるので他のメーカでこの後契約するつもりです」と話してから交渉スタートです(遅い時間に行くと他メーカーに行く気が無い事がわかるので、昼くらいには行きましょう)。期限ギリギリで、予想できる件数の一件を逃したくなければ、かなりハードな交渉にも答えてくれるはずです。2・3回上司の判断を仰ぐような交渉にしましょう。成約までたどりつけば、営業マンにも目標台数に一歩近づくというプレゼントにもなります。
重要な事は、
営業マンの「大切にしたいお客さん」になることです。自分の購入する車を月末までの成約の予定件数に加えさせた上で、最後に厳しい交渉をする事です。
自分自身が営業マンの立場なら、最初から値段にうるさいお客さんや、買うかどうか分からないお客さんを成約の予想数字に加えますか?決まったらラッキーくらいの交渉で力を抜いてやりませんか?逆に、今月は「このお客さんがいるから大丈夫」と思っているところに、その話が頓挫しそうになったら、どうにかしようと頑張りませんか?交渉は心理戦です。
注:ローンやリースを組む場合は、事前に審査を受けておきましょう。審査を受けていないと買うかどうか分からないお客さんの分類に入ってしまいます。
気をつけるべきこと
この方法は、@の生産中の車には使えません。AかBの車にしか使えないのです。ちなみに@の車がどんな車かと言うと、大体が人気の車(発売当初で納車まで2・3ヶ月待ちの車種)かグレードの高いものがそれにあたります。ABはよく売れる(コンスタントに売れるという意味合い)車です。ミニバンなんかはABがほとんどですね。車種を選んで最適な交渉をしましょう。
※ ちなみに@の車はメーカーにもディーラーにとっても在庫ではないので、値引は何をやってもほぼ変わりません。主導権がお客さんにはないんですね。考えてみてください、オーダーメードの物を買うときに、大安売りを売りにするお店はありませんよね?
特に効果が高いタイミング
3月が一番効果が高いです。その理由は自動車の車種別売上の発表は、あくまで登録までいったものがベースであり、4月から3月までの1年度で集計されています。なおかつ、ディーラーがメーカーに出す数字も4月から3月までの登録台数がベースになります(販売目標台数を達成して報奨金を得るための報告です)。そのために、3月は新古車が年間で最も多く作られるシーズンなんです。
「新古車を作る」この意味がわかりますか?つまり、登録台数を目標値に届かせるためにディーラーが自爆営業して、自社で車を購入し、登録するのです。登録してしまった車はどんなに綺麗でも新車として販売する事はできないので、綺麗な中古車と言う意味合いもこめて「新古車」などといわれます(※現在、新古車という表記は業界上認められていません)。
自爆営業するくらいなら、安くても誰かに買ってもらったほうがということで、3月は決算セールという形になるんですね。3月末までに登録できる車を狙い撃ちしてできる限り安く自動車を購入しましょう。
試乗車・展示車を買いたい方へ
試乗車や展示車の購入を希望される方にポイントをまとめました。
- 試乗者
一般的に登録済未使用車やB車と呼ばれています。登録はされているので、その分安く購入できます。目安としては登録諸費用分が得する値段設定で中古車として販売されるケースが多いです。また、ディーラーの中古車展示場だけでなく、業者専門オークションを通して仕入れた中古車屋さんが販売しているケースもありますので、色やグレードを自由に選びたいのならオークション代行業者を通すのが一番です。注意したいのが、外装はピカピカでもエンジンが酷使されている事が多いです、なぜなら試乗者はアクセルをベタ踏みされる機会も多く、売れるまで無駄な経費はかけないのでオイルが交換されていないからです。また、バックオーダー車をこのパターンで購入すると、逆に割高になるのでお気をつけ下さい。
- 展示車
上でも書いたように、展示車でも一部新車として納めているメーカーはあります。中古車として買うのであれば大変賢い買い物になりますが、新車として買ってから気づくと物凄く損した気分になります。展示場にある色・グレードと同じ車両を購入される方は必ず展示車の車台番号をメモしてください、柱やシートベルトに記載してあるので、納車された車両と見比べると分かります。展示期間が長いものからB車(登録済未使用車)になっていくメーカーもあるので、中古車としての購入を考えるのならば、足しげくディーラーに通うのが一番です。
このサイトをご覧になっていただいた皆様が、どこよりも安い値段で新車が購入できるよう、末筆ながらお祈りしております。